2010年08月26日(Thu)
■ Wikiとオーガナイズ(組織化)
前回:WikiとWikiばなについて考えている。 - shinoのときどき日記(2010-08-17)
前回は、Wikiにはまだオーガナイズに関する議論が残っている、と、わたしは考えた。
そこで、図書館に行って、366.3の書架を眺めて、驚いたことがあった。『ウィキノミクス』が366.3に収められていたのだ。366.3は、組織、主に経営などの組織論や組織学習について扱っている本が背表紙を見る限り、多くならべられているのだが、これを見たとき、「あぁ、やられた」と思った。世界はとっくにWikiをめぐるオーガナイズの議論を走らせているのだ。わたしは何歩、遅れているのだろう。
そして、もう一冊、この本を目当てにその書架へ行ったのだが、『フューチャー・オブ・ワーク』を手にとって、ふたたび、「あぁ、やられた」と思った。『フューチャー・オブ・ワーク』は日本の売り方だとビジネス書の範疇になっているようだが*1、本当はそういう本ではなくて(もちろんそういう側面もあるけれど)、MITコーディネーション・サイエンス・センターの設立者であるトマス・W・マローン氏がIT技術が企業などの組織にどういうインパクトを与えるかというのを解説した本なのであった。
『フューチャー・オブ・ワーク』では、IT技術の登場によって、情報伝達のコストが下がり、その結果として意思決定の分散化、つまり、民主化が推進されるとしている。組織は、従来の一首専制的なトップダウンの意思決定よりも、分散化され意思決定が下位に委譲されるという世界像を書いている。この中で、Wikipediaは意思決定の権限が分散化された成功例として事例紹介されている。(pp.69-pp.73)
日本語で「組織」と言った時には、すぐに企業がイメージされるが、じつは、もっと深い気がする。漢字の「組織」を分解すると、「組」と「織」である。分散化は「問題にかかわる者を意思決定に参加させること」(p.24)と定義されているので、「組」というのはこの単位の人の集合を言っているのだろう。そして「織」はそういう組と組を「ゆるやかな階層」として1つの大きな集合の中に位置づけることだと思う。位置づける、または、依存関係にあるまとまりを作る。
まだ、全部を読み込んでいないけれど、「分散化」「ゆるやかな階層」「調整」…このあたりを今後、本を読んで自分なりに整理してみたい。