2013年02月17日(Sun)
■ 残額メモは、お金にメタデータを付与するのに最適なツール。
家計簿をつける、というのに、ここ五年ほどトライしていて、昨年、ようやく通年記帳ができたのですが、その中で学んだことを書きます。
家計簿つけるのはほんとに大変です。毎日こまめにつけないと不明金が出たり、なかなか計算の帳尻が合わなかったり、思わぬ出費や、やりたいと思ったことが現実の資金難で出来なかったり、将来を考えると今の状態で良いのか不安が押し寄せたり、まあ、家計簿を前にするといろいろため息が出るものですが、ちょっと今回は具体的なお金の動きよりも、家計簿データとしてお金の出納データの扱いの大変さに焦点を絞ります。
大変なポイントは、どこかと探っていったとき、最近、気づいたのですが、お金の出納は家計簿として収められる時にメタデータの付与が重要になるということです。
メタデータという言葉は、IT系の人には馴染み深い言葉ですが、一般の人にはそれほど普及していないので、簡単に説明すると、データに対するデータです。
写真だったらその写真の撮影日付や撮影地点のGPS情報、写真ファイルのサイズなど、さらにその写真をブログに掲載する時のキャプションや、Evernoteに保存する時につけるタグなどもメタデータです。
本だったら、図書館用語で書誌情報と言いますが、本の著者名、発行年月日、分類などがメタデータです。
メタデータがあることで、コンピュータをかませば、メタデータを検索キーとして、写真や本へのアクセスが容易になるし、たくさんの写真や本を管理したり、また、付与されたメタデータを分析してそこから何かを学ぶこともできます。
家計簿の場合、一般的には単純に支出入の帳尻計算が主であるため、金額の計算さえできればいいのではないかという誤解があるような気がしますが、わたしが五年前に出会った羽仁もと子式家計簿はまったく違いました。
羽仁もと子式家計簿では、家庭の金銭出納に関して、徹底的に費目というメタデータを付与して、そのお金が何の目的のために用立てられたのかというのを明らかにします。また、羽仁もと子の作った雑誌『婦人之友』やその読者団体の友の会では費目、家庭構成員を軸に匿名で統計をとり、人生を生きる中で、どういうライフステージで、どの費目がいくらくらいかかるのかというデータを毎年作成しています。
人生は一度きりしかなく、若い家庭などは、未知の将来、こどもの教育費がどのくらいかかるのか、いや今こどもに与えている食事が健康的な量なのかと、漠然とした不安に襲われたりもするかもしれませんが、羽仁もと子式家計簿の費目を軸にしたデータを参考にすることで、おおよその目安が具体的につきます。目安がわかれば対策もでき、具体的な行動に落としていくことができます。教育費が受験時にこのくらいかかるのなら積み立てをしておこう、とか、食費がこのくらいで必要な栄養素が取れるならば少し買い物を見直そうとかです。
家計簿の金銭データは、出納の帳尻計算をするだけ、単純に「ああ足りない」「こんなに使っちゃってる」と嘆くだけではもったいないです。そこにメタデータを付与して、集計することで、データにストーリーが生まれ、次の行動に役立つようになります。
だけれども、家庭の金銭出納にメタデータを付与するのはなかなか大変です。それは家計簿のメタデータが記憶を頼りに記入されるからです。
いや、レシートがあるじゃないか、出納記録の銀行データはデジタルで取れるじゃないかといえますが、例えば、学習帳を一冊買ったとしてレシートには商品名と金額、日付が記載されています。でもそのデータはあくまでも、販売側のメタデータなので、家計簿に記載するときはあらためて自分にあわせた意味を持つメタデータを付与しなくてはなりません。
まず出金が日付はもちろんですが、それが、財布からなのか、電子マネーからなのかクレジットカードからなのか。どこの口座から出たのか。その口座をメタデータとして付与します。口座メタデータを付与することで、口座残金の集計が容易になります。
また、羽仁もと子式家計簿に入れるならば、学習帳が教育費という費目になります。教育費という費目をふることで、こどもの教育費にいくらかかったのかという把握ができます。
さらに、こどもが複数いる場合、摘要にこどもの名前も併せて記しておけば、後からこども1、こども2...nがそれぞれ教育費にいくら、衣服費にいくらかかったのかということがわかります。学習帳の消費速度から、こどもの学習状況も伺えます。また、「国語 ◯マス」と記載しておけば、次回買う時に参考になります(わたしは結構、忘れるのでこれ便利)。
こうして書くと家計簿に記載するとき、単純にレシートからの金額転記だけではなく、無意識にたくさんのメタデータをふっていることがわかります。
学習帳を例にあげたので、レシートを見ればすぐに付与するメタデータが思い浮かぶので楽そうに見えますが、これがまた、バス代など交通費になると大変です。羽仁もと子式家計簿には交通費という費目はありません。費目は教育や保健・衛生、娯楽、など何かしら家庭にとっての目的や意味があります。行楽のための交通費ならば娯楽費ですし、病院へ行くための交通費ならば保健・衛生費になります。家計簿につけるときはちょっと手間ですが、保健・衛生費にきちんと交通費までつけていれば、確定申告で還付金を受けられるケースもあるでしょう。
使った直後ならばその意味を持つ費目(メタデータ)を交通費に付与することは簡単ですが、日が経ってしまうとなかなか思い出せません。家計簿データは新鮮なうちに、記帳しないと、もうわけがわからなくなってしまいます。わけがわからないというのは、居心地が悪く、息苦しいです。ここで家計簿に挫折する人が多いのではないかと思います。繰り返しますが、交通系電子マネーだったらICカードリーダで履歴が取れるし便利じゃないと言っても、それはあくまでも売り手側のメタデータであって、家計簿に落とし込む時に付与すべきメタデータの半分は記憶の中なのです。
案外、このことは明らかにされていない気がします。
記憶が新鮮なうちに、パッと記帳。これが家計簿のコツではないかと思います。レシートが溜まっちゃった経験はわたしもたくさんありますし、それで失敗してきました。レシートを単純に転記するだけならば簡単なのですが、付与すべきメタデータが思い出せず、家計簿にデータを落とし込めないという失敗です。これは不快でしたね。
なるべく手元で簡単に出納データにメタデータを付与して家計簿に落とし込みたい。これができれば、家計簿は楽になります。
五年前は持っていなかったのですが、今、わたしはiPod touchを持ち歩いています。一部の機能を除いて、iPhoneと同じアプリをインストールして利用することができます。
日付、費目、摘要、金額が楽に入力できるiPhoneアプリがありました。それが残額メモです。残額メモ自体のコンセプトは、入力しやすいこと、そして口座の残額確認がすぐにできること、を、主においたアプリなのですが、前々回のバージョンアップで、URLスキーマでの入力ができるようになりました。あらかじめ、費目や摘要の一部(こどもの名前など)といった自分に必要なメタデータを振ったURLスキーマをランチャーアプリなどに用意しておけば、入力の手間は多いに省けます。
ここまで出納データに対するメタデータを振りやすいアプリは、他にまだないのではないかと思います。これはすばらしいアプリですね。
さらに、残額メモはcsvのメール送信やsqlite3形式のバックアップができます。csvがあれば表計算ソフトを使って、sqlite3データがあればクエリで、楽に集計することができます。(csvをsqlite3にインポートしても良いわけだし)。
ほんと、家計簿をつける主婦としては、良い時代になったなぁ、と、しみじみと思うのです。
また機会をあらためて、集計などについては日記を書くかもしれません。長くなりましたが今日はこんなところで。羽仁もと子式家計簿や婦人之友で家計簿のメタデータについて学び、残額メモで入力するといいですよというお話でした。
(注意:あくまでわたしが個人的に羽仁もと子式家計簿と残額メモの両方を利用しているだけであって、この両者には関連はありません)。
2013年02月20日(Wed)
■ 家計簿集計スクリプトをgithubに公開しました。
https://github.com/freedomcat/kakeibo
話は簡単で、"日付、摘要、金額、費目"(資産管理ではなくあくまでも家計簿集計なので口座は扱いません)の家計簿データが手元にあるとして、shellの中でsqlite3のクエリーを叩きまくって、集計に必要なテーブルやビューを作成したり、トランザクションを流してるだけです。
インポートまで終わったsqlite3にログインして、あとはselectすれば、集計済みのデータを引っ張り出せます。
費目の月別集計の他、予算に対する残高確認や、繰越金額や決算の確認もできます。
これからもぼちぼち自分が便利なように拡張して行こうと考えています。
まずは最低限必要な集計が取れるところまで一区切りついたのでバックアップの意味合いでgithubにあげてみました。また、個人使用のみを想定して、ライセンスはCC BY-NC-SAとしました。
2013年02月27日(Wed)
■ さくらインターネット(スタンダード)でdropboxを利用する。
Dropboxをクライアントではなく、apiを経由して、コマンドラインで利用できるツールがあったので、さくらのスタンダードに入れてみた。
入れてみたのはこれ。
https://github.com/s-aska/dropbox-api-command
lsやcp、rm、put、getといった機能が使えるのでファイル操作に違和感ない。すばらしい。
おおよその手順をメモしておく。わたしの環境では依存関係のCPANモジュールのインストールがかなりあって時間がかかった。また、インストール中にこけることが何度もあったので、perl cpanm するときは--force --prompt オプション必須。ターゲットは、/home/user/local (user は各自のuser名に置き換えて下さい)とした。インストール後は/home/user/local/binに入るのでPATHを通しておくこと。
#環境変数設定 cd perl -MLWP::Simple -e "getprint('http://github.com/yuki-kimoto/cpan-local-setup/raw/master/cpan_local_setup.pl')" > cpan_local_setup.pl perl cpan_local_setup.pl source ~/.cshrc
# dropbox-apiインストール cd local/src wget https://raw.github.com/miyagawa/cpanminus/master/cpanm perl cpanm --local-lib=~/local/ --force --prompt App::dropboxapi #skip retry ..? [s]ときかれたらenter #anyway?[n]と聞かれたらy enter source ~/.cshrc which dropbox-api # ~/local/bin/dropbox-apiが見えればok dropbox-api setup # ApiKey入力 #SecretKey入力 #app folderかfull accessか選択 #enter入力 #出てきたURLをブラウザで開いて認証を通す dropbox-api ls #dropboxのフォルダが見えれば成功
参考