2013年07月13日(Sat)
■ 『既死感』上・下 キャスリーン・レイクス
既死感〈上〉 (角川文庫)
角川書店
¥ 740
既死感〈下〉 (角川文庫)
角川書店
¥ 740
今、アメリカでオンエア中のクライムドラマに、女性の法人類学者テンペランス・ブレナンが活躍するBONESというドラマがある。huluにシーズン1-6まで入っていて、美人でクールで頭の良いブレナンがFBI捜査官ブースとペアを組み、ばっさばっさと猟奇的殺害事件を次々と解決してゆく様は、面白くてつい寝るのを忘れて見入ってしまう魅力がある。
ドラマBONESには原案があるとウェブで知り、探して今回読んだのが原案者キャスリーン・レイクスの処女作『既死感』だ。
ドラマBONESの主人公と同じ名前のテンペランス・ブレナンが主人公だけど、小説のブレナンは設定がずいぶん違って、大学生になる女の子の母親で、夫とは離婚し、カナダのケベック州の法医学研究所勤務という設定だ。そして、小説にはドラマBONESに出てきてたFBI捜査官のブースやラボ仲間は出てこない。
そんなわけで、ドラマBONESの小説版と考えてBONESファンが期待して読むと肩透かしを食らうのだけど、まったく別個のクライムミステリとして読むと、それはそれでおもしろい。
特に出版された年代に注意を払っておくのが肝で、1998年、Windows95が出てから3年後に出たのは、重要なポイントだ。
何が重要かというと、科学捜査や個人のデスクにコンピューターが深く浸透し始めた初期の時代なのだ。
2013年のクライムドラマだと、顔認識、指紋認証など派手なコンピューター・グラフィックで容疑者を絞り込んでゆく見せ方が一般的だけれど、この1998年に出た小説の中では、過去の犯罪者のデータベースがまだ構築中で中途半端な使い勝手だったり、個人が情報をまとめてゆくのにスプレッドシートを使っている様子が丁寧に書かれていて、90年代からのコンピューターカルチャー好きなわたしのような人間には萌え感情移入要素が高い小説と言える。
ミステリーとしてはどうかというと、最後に伏線の回収がやや強引な趣があったけれど、謎はひととおりスッキリするし、読後感は良い。また次作を読もうと思う。
ところで、キャスリーン・レイクスは出版社によって名前の表記が揺れていて検索しづらい。 海外ドラマ「BONES」の原作本について - Yahoo!知恵袋によれば、次のような順序らしい。
- 「既死感」
- 「死の序列」
死の序列
角川書店
¥ 1,890
- 「骨と歌う女」
骨と歌う女 (講談社文庫)
講談社
¥ 1,100
- 「ボーンズ―キリストの骨に刻まれた秘密」
ボーンズ―「キリストの骨」に刻まれた秘密
イースト・プレス
¥ 1,680
- 「ボーンズ―命の残骸が放つ真実」
ボーンズ―命の残骸が放つ真実
イースト・プレス
¥ 1,680
以下はテレビドラマ版のDVD
BONES-骨は語る- シーズン1 (SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
¥ 3,168