2012年10月04日(Thu)
■ 学び会、箴言がはじまる。
今日から箴言の学びがはじまった。箴言は、旧約聖書に所収された、31章からなる書で、執筆者は、今でも賢者として有名なソロモンが1章から29章、30章をアグル、31章をレムエルという人が担当している。
賢者として有名なソロモンが、なぜどのように賢者なのかを知るには、やはり旧約聖書を読むのが一番だろう。
…という殊勝なことは思っていなくて、わたしは、「箴言かぁ、なんか、格言でしょ?お小言のようなことが書いてるんじゃないかなぁ。憂鬱…」というへたれな気持ちだった。
今日はその1回目で、まず、ソロモンの背景について学んだ。そこで、意外にもソロモンはただエリートな父のもとに生まれて、ストレートにエリートの道を生きた人ではなかったということがわかった。
ソロモンの父ダビデは、どういう人かというと、かなりはちゃめちゃ王だった。部下の妻が美しいのに目がくらみ、部下を殺してその妻を強奪したり、それ以降もたくさんの妻をつくって、妻同士の諍いもあったし、子ども同士も敵対したりと大変なことになっていた。
だけれど、ダビデは情熱が深くその熱情を神に注いで、数々の詩を書き、今、その詩は詩篇に残されている。そういう人だから、きっとカリスマも強かったのだろう。人間的にとても魅力的だったのだろう。多くのイスラエルの民に愛された王だった。
そんな父親をもったソロモンは、政治的な結婚で、異教の民、エジプトの王の娘と結婚した。
政略結婚はどうしようもないことだけれど、エジプトかイスラエルかと言えば、エジプトの方が圧倒的な力を持つという力関係だった。いつイスラエルがエジプトの強い支配下に置かれても仕方ないような事態。出エジプト記でエジプトから脱出したイスラエルの民が、再び、エジプトの奴隷となりそうな事態。
ソロモンは、エリートであるダビデの跡継ぎとしてイスラエルの民を統治する立場にあり、外からは異文化異教のエジプトが迫ってきているという、内も外も激しいプレッシャーにさらされる事態に陥ってしまった。
そこで、ソロモンは、高いところに祭壇を築いて全焼のいけにえを捧げたり、香を焚いたりという行為に走った。
神が人間に求めることは、この時代、どうなっていたかというと、すでに、全焼のいけにえといったパフォーマンスではなく、その人自身の神を畏れる心や魂、その人自身の最も高価で尊いものを神の前に差し出す行為だということは、アブラハムがイサクを捧げるエピソード、ダビデが残した数々の詩篇よりあきらかになっている。
これは信仰を持たない人にはよくわからない事態かもしれないけれど、自分のアイデンティティが崩壊していくような窮地だ。高いところに祭壇を築いたり、いけにえをささげたり、香を焚いたりと異教的、偶像的なパフォーマンスをすればするほど、神は離れていくだろう。
そんなパフォーマンスをすることは、一個人のアイデンティティの崩壊どころか、イスラエルが内部から決裂し崩壊していくことにつながる、国家存亡の危機とも言える。
そこで、列王記上3章5節、ソロモンの夢の中に、主なる神が登場する。
神はソロモンに次のように言った。
「あなたに何を与えようか。願え」(列王記上3:5)
ソロモンは答えて言った。それは富でも名声でも長寿でもなかった。
「わが神、主よ。あなたは私の父ダビデに代わって、このしもべを王とされました。しかし、私は小さい子どもで、出入りするすべを知りません。 そのうえ、しもべは、あなたの選んだあなたの民の中におります。しかも、彼らはあまりにも多くて、数えることも調べることもできないほど、おびただしい民です。 善悪を判断してあなたの民をさばくために聞き分ける心をしもべに与えてください。さおもなければ、だれに、このおびただしいあなたの民をさばくことができるでしょうか」
神の御心に叶った願いだったので、ソロモンには知恵の心と判断する心が与えられた。(列王記上3:11)
そして、同時に、神様はソロモンに海辺の砂浜のように広い心を与えた(列王記上4:29)
こうしてソロモンは現在ですら、賢者と称えられるような治世者となったのですね。
ソロモンが偶像的パフォーマンスに走ったことを、咎めることなしに、必要なことを問うた神様の心も広いし愛が深い。その問いに、的確に御心に沿った願いを申し出たソロモンもすごい。
はぁ…。わたしは凡人だから、知恵や判断するような心はなくても大丈夫だと思うけれど、本当に本当に、すぐカッとなるような感情にふりまわされる心じゃなくて、海辺の砂浜のように広い心が、欲しいです、神様。箴言の学びをとおして、そのような心を教えてください。
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山歩き初心者向けの入門書。装備、地図の読み方、歩き方、山の危険、マナーなどが簡潔でわかりやすい。巻末に登山計画書のフォーマットがある。読んで良かった。