2009年08月30日(Sun)
■ アーシュラ・K・ル=グイン
いま、読んでる本というと、ル=グイン関連のものを漁っています。
きっかけは、8/8のWikiばなでの発表です。あのときは老子をメインにその歴史と伝播についてまとめるのがいっぱいいっぱいだったのですが、その先を見てみたい!と思いまして、プレゼンの時にはとりあげなかったのですが、ル=グインも老子の解説書を書いているようなので、まずは代表作の『ゲド戦記』シリーズを読みました。
『ゲド戦記』は若い頃にも読んだのですが、当時はまだ、何が何やらさっぱりわかってませんでした。
翻訳者の清水真砂子さんが『「ゲド戦記」を読む』というブックレットを出していて、その中で、ル=グインは
- 父親はカリフォルニア大学の文化人類学者
- 母親は作家。
- 育児が落ち着いてから、アメリカの先住民族についての話を書く
という環境で育ち、『ゲド戦記』の一作目は、カウンタカルチャが隆盛な、1968年に刊行されたことを知りました。
1968年はキング牧師が殺害され、黒人の公民権運動が盛んになっていった年なのですが、『ゲド戦記』の登場人物もメインは黒人のような容姿のようです。
また、内面の捉え方が従来とは異なるのも特徴的です。魔法はいわゆる魔法とは少し異なり、訳者の清水真砂子さんも wizardを魔法使いと訳すか、賢人と訳すかものすごく迷ったようです。けれど、最終的には魔法使いにしたというのも興味深いですね。
清水真砂子さんのエッセイを読んでいると、ル=グインはカウンタカルチャ時代、ウーマンリブ運動の集会にもあちこち顔を出したようですが、いつも違和感があったそうです。当時のウーマンリブ運動というと、女性も男性と同等にキャリアを積んで社会に進出していくべきだという主張が声高に語られた時代です。その中にあって、ル=グインは「でもわたしはこどもを3人も育てているわ」と。そんな違和感、そして、「こどもを育てているわ」というル=グインの在り方に、わたしは心惹かれます。