2012年02月28日(Tue)
■ 『シルクロード9400km 走り旅』中山嘉太郎
2000年から2001年にかけ、中国の西安から、中央アジアを抜けて、トルコのイスタンブールまで、ひたすら走る旅をした話。ルートは、中国、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、イラン、トルコ。
ちょうど9.11の時にイランの手前のトルクメニスタンだったが、現地のまだ大丈夫そうだと肌で感じた雰囲気を信じてイランに入る。イランは少し物騒だったがそんなに国に悪意があるという感じはしなかった。情報を知りすぎなかったのが良かったと中山氏は振り返っている。
それよりも、旧ソ連から独立した国の方が、体制が開いていず、国境越えなど大変そうだった。また、公安がちらちらと出てきたけれど、中央集権的なものというよりも、外部からの人や情報の少ない村社会では、その土地の人が頼りにする用心棒的な存在として働いているようにも感じられた。
中には危害を加えてくる人もいたけれど、おおむね、シルクロードの人々はおおらかで、中山氏は宿、食事、人に甘えすぎていると反省するくらい、たくさんの人が施しをしてくれたようだ。…でも、女性が同じような走り旅をするのは、無理そうだけれどね。
わたしがこの本の中で一番驚いたのは中山氏の靴。9400kmをたった一足のランニングシューズで走り抜けた点。当然、靴はものすごくいたむので、途中で修理しながら旅するのだけど、走りながら道に落ちてる皮やゴムを拾って修理に使うとい発想は、わたしにはなかったので、そのサバイバル力に驚いた。
著者はこの旅を評価され、第六回植村直己冒険賞を受賞。