2009年09月05日(Sat)
■ 教会ホームページの作成
教会ホームページの効果
一昨年になりますが、一年間、時間をかけて、わたしは毎週日曜日に通う教会(キリスト教プロテスタント)のホームページ作成のお手伝いをしました。
この夏は、特に、ミッション系の学校の生徒さんがホームページをみて、教会学校に参加してくださったということです。ずいぶん遠方からもみえられていたようです。(ミッション系の学校では聖書の授業などで、教会のリストを配布し、夏休みなどに教会学校をのぞいてみるよう課題をだしているところがあります)。
そのように、ホームページの効果があらわれてきたので、ここで、教会のホームページをどのようなプロセスを通してつくったのか、書いておこうと思います。
ホームページ作成ワーキンググループ発足
教会にはさまざまな会があります。教会の規模にもよりますが、聖歌隊、婦人会、青年会、教会学校、年代や目的によって礼拝のほかにさまざまな層の集いがあります。そして、それぞれに責任者の席が設けられ、定期的に責任者などが集まって教会の運営についてディスカッションする役員会もあります。
まずは牧師と相談して、「ホームページ作成ワーキンググループ」と称して、教会内にあるさまざまな会の中から、4名ほど代表者を出してもらいました。牧師とわたしをあわせて6名のグループになりました。
ホームページワーキンググループの活動は、月に一回、日曜日の午後、小一時間、ディスカッションをする形式にしました。
一回目 自己紹介
一回目は、自己紹介と自分のネットの活用方法について、互いに話し合いました。会社でメールを活用している人、ブログを立ち上げて趣味についてつづっている人、学校でホームページを作成している人など、ネットを利用したことのある人達が揃いました。(と、わざわざ書くのは教会には0歳からお年寄りまでさまざまな年代の方が集われるので、ネットにまったく触ったことのない人のほうが多い可能性もあるのです)。
二・三回目 願望を出す
二・三回目は、「どんな人が教会のホームページを見るだろう?」と題して、ブレーンストーミングを行いました。A4の用紙を各自にわたし、まずは思いつくままに、こんな人が教会のホームページを見るのではないかと、どんどん、あげてもらいました。また、「どういう単語で検索する?」というお題も出しました。これもまたブレストを行いました。
その中には、結婚式をあげるのに教会を探す人、郷土史家、近所にある施設として教会をチェックしたい人、教会の由来や牧師の人物像について知りたい人、クリスマス礼拝に参加したい人、携帯で見る人、お葬式に教会に初めて来られる方、教会学校にくる学生・生徒、教会学校のイベント情報などなどがあげられました。特にわたしが予想してなかったのは、教会学校の責任者をしている人からあげられた、「ミッション系の学校の生徒や親御さん」でした。理由は冒頭のとおりです。
四回目 講義 インターネット・リテラシ
四回目は、講義的なことを行いました。インターネットのリテラシについてです。特に個人情報の収集について重点をおきました。個人名が書いてあることによって、ネットを横断的に検索をすると、自営業の人の場合は、自宅兼事務所の住所から、通う教会までがわかってしまう。教会で熱心に活動していることがわかると、どういうトラブルが発生しかねないかという事例などを出しました。そこで、教会のホームページには、牧師以外の人の個人名は掲載しないという方向を出しました。
五・六回目 事例研究
五回目、六回目は、メンバーに、好ましいと感じたよその教会のホームページを印刷して持ってきてもらうことにしました。行ったことのある教会もあれば、行ったことのない教会のものもありました。つまり、知らない教会だけれど、どのように情報が整理されて掲載されていると、行きたいなと思えるようになるかを、話し合いました。
みんな様々な情報の掲載されたホームページを持ってきてくださり、とてもおもしろかったです。キリスト教といっても、教会ごとにいろいろなカラーがあることがわかりました。
特に印刷されてはきませんでしたが、そこでニックネームなどで呼びあう仲間内的な雰囲気が漂う掲示板があったりすると、逆に入って行きづらいというような感想があがりました。
また、ある人からは、「教会という「場」に集う以外のところ、ネット上にコミュニティを作るのは避けたい」という意見がでました。掲示板はSPAMなどの対策にも手間がかかりますので、掲示板の運営はやめましょう、ということになりました。
それから、ホームページの連絡先について話し合いました。いくつかの教会はメールアドレスが記載されていましたが、また別のいくつかの教会はメールではなく電話番号を記載していました。運営コストなどを考慮し、メール対応をどうするか、メール対応をしない場合は電話対応をどうするかなどを話し合うことができました。
七・八回目 ホームページの方向を定める
七・八回目は、あらためて想定閲覧者をしぼりこみ、どういう情報を整理して掲載するかを話し合いました。
想定閲覧者は次のような人です。
- まだ教会に来たことがない人
- 学校で教会のリストを渡されて、教会学校を探している生徒や保護者
情報は次のようなものを掲載することにしました。
- 教会の外観
- 連絡先(住所、電話番号など)
- 教会の来歴
- 牧師紹介(写真入り/メッセージ)
- アクセスマップ
- 最寄り駅情報
- 最寄りバス停情報
- 教会内の集会の紹介
- 定期的にある集会案内(教会学校や祈祷会の曜日や時間)
- 婦人会や壮年会、青年会などの概要
まとめ
夏休みやクリスマスなどの忙しい時期は、ワーキンググループはお休みしたので、上記のようなスケジュールでグループメンバーで話し合い、取り決めました。
決まってみれば、とても「ふつう」なホームページになりました。むしろ牧師紹介以外のメッセージなどは掲載していない、素朴なものです。もしテンプレートがあればすぐコピーできるような項目です。けれど、教会内でさまざまなポジションにある人が複数人で何度も話し合い、ホームページの役割について一致した認識を持てたことは大きな収穫だったと思います。運営もコスト(経済的なものだけではなく人的なもの)を考え掲示板やブログの掲載は、「できるけれど、でもやらない」というのを共通認識としてもてたのは良かったと思います。
ネット上では、CMSなど「このツールを導入すればこんなことができます」という売り文句がとても多いですが、じつは教会や学校などのコミュニティがホームページをつくる場合は、業者やツールに丸投げするのではなく、ホームページ作成ワーキンググループで行ったような、コミュニティ内部での合意形成が大切なように思います。その合意形成は必ずしもオンライン上で行われる必要はありません。コミュニティ内部で、さまざまなポジションにある人が認識の一致を導き出せることが、大切な重要な事柄だと思いました。
※教会のホームページ作成ワーキンググループは、毎回、祈りにはじまり、祈りに終わるようにしました。「神様、あなたのご用のために用いてください」。そうしてホームページの公開まで一年間祈りを積み重ね、準備をできた、それがとても良かったと思います。感謝です。