2010年08月28日(Sat)
■ 中世ヨーロッパの修道会
おおきな流れ。
ヨーロッパの世界の根幹を作っていた王権政治は、その権力の正統性として、ローマ教皇による神権授与に頼っていた。そのため、王権とローマ教皇(ローマ教区)は中央集権的な巨大な富と力を持っていた。
その中で、公権力のあまり及ばない、つまり都市部から遠く離れたプロヴァンスから出てきた修道会がクリュニー修道会である。王侯貴族の出家の先としてあったため、クリュニーの修道士たちは、ひたすらに典礼栄華に極めた。しかし、クリュニー修道会はフランス革命の時に、王侯貴族もろとも、市民らに建造物も、組織も打ち倒される対象となる。
一方、今に続く修道会が2つある。ひとつはシトー修道会で、もう一つはフランシスコ修道会だ。
シトー修道会はクリュニー修道会から200年後、同じくプロヴァンスから発祥する。シトー修道会は、不労所得を嫌い、日課の中に労働を取り込んだ。また、修道士の他、助修士と呼ばれる労働専門の修道士も取り入れた。助修士たちは、グランギアという集団を組み、修道会に寄進されたもののシトー修道会が日常を過ごすには離れた地へ常駐し、その地の開拓を行った。ちょうど農業革命と重なり、グランギアの派遣により農業技術はヨーロッパ各地に広まった。最盛期には全欧で6000ものグランギアがあったと伝えられている。
フランシスコ会の話に行く前に、中世ヨーロッパの異端について語る。クリュニー修道会もシトー修道会の修道士たちも、社会の中では富裕層、権力層の出身者が多かった。ところが、十字軍の遠征による広い地域の交流や、商人たちの台頭により、ピラミッド型の権力構造があるとするならば、王族から富裕層といった上位の人々よりも、もっと下位の身分の人たちが、信仰を求めることになる。
中世ヨーロッパの異端はさまざまにあるが、新しい層、たとえば貴族よりももっと身分の低い商人や周辺地域の人々がキリスト教化する時に、従来のキリスト教層が反発として、異端とし迫害した。代表的な例として、バルカン半島からきた二元論的な信仰を持つカタリ派や商人主体のヴァルデス派などが、異端とされた。
フランシスコ会は、アッシジのフランシスコを始祖とする修道会だが、富を持つことを極端に避ける清貧の思想が大きな特徴で、商人よりももっと身分の低い財産を持たない層までに、普及した托鉢修道会である。カタリ派やヴァルデス派が異端とされたように、異端となる要素はあるのだが、フランシスコは信仰を持つ者、個人に対する日常の規範は示したが、人々が集団化し、フランシスコ会として組織化する時に、その制度づくりについては、ローマ教皇に指示を仰いだ。これが、フランシスコ会が異端を免れたひとつの理由らしい。
■ tDiary会議&tDiary3.0.0リリース
RubyKaigiに来てます。tDiary会議でtDiaryの3.0.0リリースを目の前で見ちゃいました。(プロジェクタにリリースする方のマシンのモニタをうつしてくれてたのだ)。
ということで、さっそく、svn upで、追随してみました。
■ RubyKaigi2010、2日目の感想。
詳しいレポートはたぶんどっかにあがると思うので印象に残ったことを書きます。
tDiary会議
わたしの一番の目当てはこれ。一応、ウェブ上の自分のホームは、ここのtDiaryだと思っているので、その開発者が集うとなれば、目が離せない。
昨年も出席したのだけれど、この一年の大きな変化としては、コミッターさんがRackeRake対応ほぼ完了しているのと、tDiaryのリポジトリがgitになったこと。今年新規に出た話題は、コミッターのhsbtさんによるtDiaryの自動テストのデモ。詳細はたぶん、まちゅさんがあとでupしてくださると思う→tDiary 3.0 時代のテスト方法 (steak/capybara, rack, bundler) - まちゅダイアリー(2010-08-28)。
わたしのようなコンソールでsvn upしてバージョンアップに追随するユーザには、上記ふたつはとても遠い先っちょの世界なんだけど、どうも自分の環境がとてもレガシーであることに気づいた。まだ今ひとつ理解が追いついてないんだけれど、どうもウェブサーバの世界が、わたしの認識よりもかなり変わっているみたい。わたしはレンタルサーバの上でCGIでtDiaryを動かしているんだけど、最近は次のような環境の上でtDiaryを動かすというのもあることがみんなの意見だしでわかった。
- CGI on レンタルサーバ ruby1.8.5/1.8.9 ←レガシー言われた
- CGI on IIS7Windows ruby1.9
- FCGI on VPS ruby1.9
- FCGI on myServer ruby1.8/1.9
- rack
昨年までは「まだ先かなぁ」と言われてたrackrake上でtDiaryを動かすという方向がかなり具体的に動いているらしい。rakeはまだ理解しきれてないんだけれど、makefileみたいなものかと思ってたら、どうも何やら違うぽい。rakeだとtwitterのOAuth認証などがやりやすいらしい。makefileでありながら、ライブラリも提供しているということかな?つまり、makefile以上の世界ぽい。何それ。今度調べる。*1
わたしはさくらインターネットのスタンダートプランなので、sshができるので、ある程度までは追随できるような気がするけれど、ftpでtDiaryを使うユーザはどうなっていくかな、と、ちょっと思ったり(たとえば人に頼まれてサポートでblog系ツールを入れるのに、もし、ftpだけでインストールできないようならば、その場合は見送ることになる気がする)。
ほかにあった大きなトピックとしては、hsbtさんによるtDiaryの自動テストデモ。まだcore部分の自動テストまでいくには時間がかかりそうだけれど、出力系をテストコードで繰り返しテストできるようなので、これはいろいろとtDiaryに可能性が出てきた予感があって、楽しみ。
フレームワークとは何かについて教えてもらう。
今まで、ライブラリとフレームワークの違いを理解していなかったのだけれど、懇親会で人を捕まえて教えてもらった。
わたしの理解できる範囲の事例に置き換えて教えてもらったところ、tDiaryはプラグインを書くときにイベントハンドラを起点に書く。tDiary自体がフレームワークであって、開発者はイベントハンドラの内部で、あれやこれやを機能追加する。イベントハンドラの集合体がフレームワークだと理解した。
RubyにはRailsというフレームワークがあるらしく、今回出ているWebDB+PRESSに解説があるとのことで、ちょっと明日チェックしてみようと思う。
「はじめてのRuby」を購入して著者サインをもらう
第十回Wikiばなで、わたしは名札を作成するRubyスクリプトをかなりべったべたに書いた訳なのだが、今回、RubyKaigi2010用名札生成ジェネレータというのが出てきた。で、そのソースがgitにあるわけなのだけど、それを読んでおっどろいた!わたしがべったべたに書いた数十行のコードがたった6行にまとめられているのであった。
今はそのコードはちょっと変わってしまっているのだけど、それを読んだ時は、mapというのが使われてて、ネットで調べてみたのだけど、よくわからなかった。そこで、本屋に行って、mapを解説している箇所をそれぞれ読み比べてみたら、『はじめてのRuby』という本が一番わかりやすかった。
それで今日、会場のジュンク堂出張店でそれを購入してぱらぱらと読んでみてるところなんだけれど、この本は、なんというか、ちょっとすごい。どうすごいかというのを説明しづらいんだけど、まるで文学を読んでるような感動すらする。読んでるだけでなく、実際コードが書けないとダメだろうけど、ちょっとこの本を起点にRubyも勉強しはじめてみようと思った。
Wikiの話をする
どこに行ってもわたしの悪い癖はWikiの話をしはじめてしまうことにあると思うのだけど、懇親会でその話につきあってくれる人がいて、かなりおもしろい話ができた。
いま、Wikiを巡っていくつかもやもやしていることがあるんだけれど、その1つに、「なぜ日本語WikiはC2Wikiのパターンランゲージのような創造的なドキュメントが出てこないのか。いつもテンプレを作ってしまって、あとは穴埋め式だったり、Wikiページ上のドキュメントは構造化されすぎた文章の気がして伝わってくるものが少ない」という問題だ。
これに対するひとつの事例として、C2Wikiがある。ウォード・カニンガムが作ったC2Wikiは今でも稼動してて3万数千ページに達している。そして、ひとつだけではなく、いくつものパターンランゲージを生み出す場にもなっている。
おおざっぱにくくるのもアレだけど、日本語WikiとC2Wikiは何かが違う。一番大きいのは、WikiNameの問題だろう。アルファベットの英単語で綴られたC2Wikiのページ名は、そのまま、パターン名としていける。でも、日本語Wikiでパターン名的なものは少ない。通常、単語ベースでどうしても辞書的、まとめ的なものに使われてしまう。この命名のセンスは何だろうなぁ、など。
他にもたくさん、おもしろいお話を伺うことができて楽しかった!